中国の教育機関はマルクス主義を強化するため、外国籍のキリスト教徒の教師を強制的に退去させ、キリスト教徒の学生や教師らに罰を科している。
宗教の侵入への対策を理由に 中国共産党 は、外国籍のキリスト教徒の教師を国外に追放し、大学構内で宗教の取り締まりを強化している。中国全土で行われているこの運動は、無神論の共産主義思想への影響を回避するための取り組みだと専門家はみている。
中国中央部河南 省 の鄭州信息工程学院の党の副書記が、大学のウェブサイトで、単科大学および総合大学の「キリスト教問題」に関する「特別な修正作業」には高圧的な行為も含まれると発表した。まず管理部門は学校全体で教員と学生の調査と審査を実施しなければならない。また、海外からのキリスト教の侵入に対抗し、キリスト教の伝道の経路を断ち、キャンパス内のキリスト教の拡散を抑制することが義務づけられている。要するに学校の管理部門は、常に学校がマルクス主義を学び、推進する鉄壁な場所になるように対策を講じなければならない。
学内での宗教を取り締まる運動は、中国北東部でも進行している。2018年8月中旬、黒竜江省ハルビン 市 にある万邦学校で働く8人の韓国籍のキリスト教徒の教員が突然退職し、韓国に帰国した。韓国人の教員の中には2003年に創設された、この私立の教育機関で7年にわたり教鞭を執っていた者もいた。
この学校の教員によると、当局はとりわけキリスト教を広める外国籍の教員の問題に厳しい姿勢で臨んできたようだ。当局は校内でのいかなる形式の宗教活動も禁じ、学生には代わりに社会主義核心価値観を学ぶよう要求した。教育局はこの命令の順守を確認するため抜き打ちの検査を実施する。
当局から圧力を受けた学校は教育計画を修正し、宗教に関連する講義の内容を全て中止した。また、学生には校内で聖書を読むことを禁じた。
情報筋によると、2018年11月、中国北部の内モンゴル 自治区 にある呼和浩特民族学院で、アメリカ人の教員のジョナサンさんがキリスト教の教えを伝えるために「違法に伝道行為」を行ったと警察に非難されたようだ。さらに米国への帰国を命じられ、今後5年間の中国への入国を制限された。ジョナサンさんはこの学校で15年にわたり教職に就いていた。
Bitter Winterでは昨年から強化されている大学での宗教の抑圧と根絶に関するニュースを繰り返し報じてきた。小学校と中学校の教員と児童や生徒もまた中国の当局による取り組みの対象になっている。宗教が原因で、一部の学生と教師は程度の差はあれ、脅迫や嫌がらせを学校の当局から受けている。
中国東部、海に面する山東省済南 市 の大学に通う劉菲(リュウ・フェイ)(仮名)さんがBitter Winterに伝えたところによると、2018年10月、大学の経営者らが何度も劉さんを呼び出し、尋問を行ったという。大学側は劉さんがWeChatとQzone(中国のSNSサイト)に聖句を投稿していたことを把握していると伝え、棄教を求めた。また、学校の経営者らは、中国共産主義青年団の団員は、特定の宗教を信仰することができないと警告した。この警告に対し、劉さんは青年団から抜けることを提案した。
しかし、大学側は劉さんに対し「神を信じるために青年団を抜けるなら、それは反政府的な行為だ。青年団から抜ければ、奨学金の給付を停止する。また、卒業後に就職することはできなくなる」と脅した。最終的に劉さんは、校内ではいかなる宗教活動も計画しないと約束する宣誓書を書くことになった。それが問題を収束させられる唯一の方法であった。
別の大学で教員として働く楊斉さんと妻は、ある宗教を信仰したために共に弾圧を受けた。楊斉さんの妻は党員であったため、学校は繰り返し棄教を求めた。結局、楊斉さんの妻は党から抜け、信仰を続ける決断を下した。一方、同様に棄教を拒んだ楊斉さんは、物流部門に移され、月収は1,200人民元(約1万9,000円)に減った。
楊斉さんの妻は「これは始まりに過ぎず、今後も悪化していくでしょう。私たちはいつ解雇されてもおかしくありません」と話した。
情報筋によると、2018年11月以降、この学校は政治教育を強化するためマルクス学校を創設し、政治関連の講義の教員は30人から100人に急激に増加したという。中国ではキリストの影響を減らし、マルクスの影響を高めなければならないようだ。
江涛による報告