カトリックの信者に対し、教会を取り壊す代わりとして、全ての宗教的な象徴を教会から取り外す命令が下されている。象徴が全てなくなると、施設は「文化センター」となり、宗教活動を行うことはできなくなる。
昨年、中国共産党 は教会と寺院を弾圧する一連の方策を実行した。その中には政府の認可を受けた5つの宗教に属する施設も含まれていた。プロテスタントおよびカトリックの教会は取り壊し、または閉鎖に追い込まれ、十字架が撤去されていた。しかし、これらの方策により当局は市民から激しい抗議を受けることがあった。そして、現在、批判をかわすため、中国共産党はより狡猾な方法を用いて、教会の運営を中止に追い込む実験を行っている。
Bitter Winterでは、繰り返し工場やその他の一般の企業に転用された三自教会の施設に関する情報を提供してきた。過去数日間、Bitter Winterの記者は陝西 省 宝鶏 市 の岐山 県 にある複数のカトリックの教会を訪問した。教会は取り壊されてはいなかったものの、外観は変わっていた。ある教会はコミュニティセンターに転用されていた。教会内の壁には「社会主義核心価値観」についての貼り紙があった。また、教会内では宗教に関するあらゆる活動が禁止されていた。
現地の信者はBitter Winterに対し、岐山県の当局は、昨年、2つのカトリックの教会が当局から正式な認可を受けていなかったとする主張を始めるようになったと話した。当局は、教会が「違法建築物」であり、国の規制と方針により、取り壊すべきだと主張した。信者が取り壊しに反対すると、当局は取り壊しを避けたいならば、「まず十字架を取り外し、「文化活動センター」の看板を掲げなければならない」と告げた。
教会を守るため、信者たちは当局の要求をのまざるを得なかった。十字架は2つのカトリックの教会からノコギリで切り取られた。そして、「カトリック教会」という文字は隠され、代わりに「文化活動センター」と記された看板に置き換えられたのであった。
「教会でミサを執り行っていることが判明した場合は、直ちに教会を取り壊す」と当局は警告した。十字架が取り外された後、現地の政府職員は教会の理事を脅しただけでなく、信者が教会内で宗教活動を続けているかどうかを知るため、頻繁に 村 の職員を派遣し、監視および調査させた。監視が長期に渡っているため、現在、信者たちは教会内で祈りを捧げる行為を控えている。
Bitter Winterの記者が訪れた岐山県故郡鎮にあるカトリックの教会でも、十字架が取り外されていた。元々、教会の上部の目立つ場所には「カトリック教会」の文字が記されていたが、現在は中国共産党の象徴である赤い星と「文化活動センター」と書かれた看板によって隠されている。
現地のカトリックの信者が伝えたところによると、教会の十字架は昨年8月の上旬に強制的に取り外されたようだ。十字架を取り外す前に当局は教会の取り壊しをちらつかせ、信者に十字架を取り外し、全ての宗教の象徴を教会内から撤去させていた。宗教を象徴する物品を取り外す案は、取り壊しに代わる案として提案されていた。しかし、宗教の象徴が全て撤去されると、当局はこの施設は「コミュニティセンター」であり、礼拝目的で使用することはできないと信者に告げた。
故郡鎮の教会においては、当局は教会内の一室を「農家会議室」に転用し、「農家の手続きの規制」が掲示された。この規制は「この会議室は橋山村の上河組の住民が会議を開く、または、イベントを開催する等の目的で使用する場合に限り使用を許可するものとする。住民による会議、作業および討論を手配するために事前の登録を必要とする。許可を得た上で(施設を)利用するものとする」と規定している。
これらの教会は信者によって建てられたものの、信者は使用する権利を奪われた。現在、信者には信仰活動を実施する場所がなく、密かに祈りを捧げ、自宅でミサを執り行うことしかできない状態だ。
周暁路による報告