党の官僚は常に主席の語録を持ち歩いて学ぶことを求められている。暗唱できなければ処罰される場合もある。
2018年3月、中国の立法機関は『習近平主席による新時代の中国の特色ある社会主義思想』を組み込んでまつり上げた憲法修正案を採択した。中国共産党 員と政府職員を筆頭に誰もが主席の思想を学ぶことを強いられるようになったのだ。
以来、不評の「学習強国」アプリから、昨年8月に中国中央電視台で放映された「『平』の言葉を国民にとって身近な存在にするために: 習近平主席の辞典」などのテレビ番組まで、「習近平 の思想」を人々に学ばせるための教材や活動が一気に導入された。
そして、プロパガンダ手法の備蓄は増えているように見える。6月9日、中央宣伝部は『習近平主席による新時代の中国の特色ある社会主義思想の概要』を編集して全国で発行し、党員と政府職員が行うべき「習近平の思想」の推進活動の範囲を拡大した。
中国北部、山西 省 長治 市 自治体の宣伝部は7月初旬に管轄下の保健体制関係者と労働者に対し、『概要』を購入して「習近平の思想」を必ずすべて学ぶことを要求した。
中国本土の報道によると、中国北部、河北省邯鄲市轄の磁 県 委員会組織部は7月に『人々に身近な「平」の言葉の引用手帳』を発行し、県内280の 村 々の中国共産党員と職員全員に配布した。1か月もたたないうちに、2万部以上の手帳が配られた。
手帳には「原点を忘れるな。使命を肝に銘じよ」をテーマに習近平主席の演説と必須の「学習のポイント」が掲載されている。『党員と職員の記録』と称されるノートも付いている。党員と政府職員は全員、「習主席の語録」の内容を覚え、常に手帳を持ち歩いてメモを取る必要がある。
地元メディアの報道では、手帳は小型で持ち歩きやすく、党員や職員が「すきま時間」を使っていつでもどこでも読んで勉強でき、学習意欲と効率を著しく高めるという触れ込みだ。しかし、そのような礼賛の記事が「習近平の思想」の学習を強要された人々の本当の声を表しているようには見えない。
「習近平主席は政権を取って以来、自分自身を崇拝させようとしています」と、匿名希望の党員は言った。「主席自身がすべての核なのです。党員と職員に手帳で勉強させることで、習主席は 毛沢東 の焼き直しをしています。私たちはまず洗脳され、次に評価を受ける必要があります。中国共産党に反対する者は皆、処罰されるでしょう」。
別の党員は、中国の法律は党にのみ役立つようにできており、習近平は自分の考えを人々に押し付けているのだと言った。「どれだけ忙しくても主席の語録を学び、暗記しなければなりません。それを怠って視察団に手帳を勉強していないと判断されれば、罰を受けて給与ももらわずに辞職せざるを得なくなります」。
紅い表紙に後光をまとった指導者の肖像が描かれた『人々に身近な「平」の言葉の引用手帳』のデザインは『毛主席語録』の表紙に酷似している。
半世紀以上前に『毛主席語録』が大流行した。最初は党内での学習と宣伝のみを目的に使われていたが、1969年から事実上、中国の全市民が1人1冊を携えるようになり、毛沢東の個人崇拝が全国に広まり始めた。中国共産党はそれを取り入れているのだ。
台湾の中央通訊社(CNA)の8月15日の報道によると、中国共産党中央弁公庁と国務院は「党と社会全体に思想と政治の理論の道筋の設立を支援しようとする勢いが足りない」として「習近平の思想」が子どもたちの精神にも入り込むようにその気運を強化しなければならないと述べる文書を公布した。
楊向文による報告