「仏陀を一掃」するための中国共産党の活動は、常軌を逸したレベルに到達しつつある。河南省のある寺院は、仏像を革命の指導者の像に置き換える奇策を講じている。
河南 省 汝州 市 寄料 鎮 の張坡 村 から西に約2キロ進んだ青竜山に位置する寺院は、仏教徒の参拝の場を作るために個人の資金により建立された。しかし、中国共産党 による「仏陀を一掃する」運動が強化されているため、宗教施設の登録証明を取得することができなかった。
そこで、この寺院の所有者は、寺を運営し、正式に寺として登録するため、巧妙な計画を練った – 仏像を革命の指導者に差し替えたのだ。そして、この計画は功を奏した。現地の宗教事務局はこの寺を「共産主義の愛国的教育の拠点」に指定し、大勢の党の支持者が「毛主席仏陀寺」に押し寄せ、参拝した。しかし、目的は仏の参拝ではなかった。
この寺の屋上には国旗が1つ、そして、馬上の革命の指導者の像の隣にある入り口の両側にも2つ設置された。入口の左側の像は毛沢東が直々に選んだ後継者であり、中国共産党の主席と首相を務めた華国鋒(フア・グオフェン)(1921-2008)の像であり、右の像は中華人民共和国の創設者の一人である董必武(トン・ビーウー)の像である。
寺の敷地に入るとすぐに、毛沢東 の大きな像が目に留まる。像の土台には、「毛大帝は天と地、そして、人間の世界を支配する新たな玉皇大帝である」や「道教 と仏教は毛沢東の教えに起因する」等、毛沢東を「仏陀」と神格化する詩が彫り込まれている。
また、寺院の床の塗装も一風変わっている。通常、古代中国の哲学で二元性を象徴する陰陽は白と黒の2つの渦で描かれるが、この寺の陰陽には3つ目の黄色い渦があり、中央には赤い点が描かれている。寺の女性のスタッフによると、この円は「赤い太陽」である毛沢東を表しているという。
この寺院は2階建てであり、どちらの階にも豪勢な広間が設けられている。1階の広場は皇府殿、そして、2階の広場は仏祖金殿と名付けられている。後者の広間には、実に奇妙な組み合わせだが、仏像と中国の共産主義の指導者の像が一緒に展示されている。2階の広場にある毛沢東の像は「宇宙天尊仏祖」と呼ばれている。その隣には中華人民共和国の初代の首相の周恩来(ジョウ・エンライ)(1898-1976)を追悼する中天大仏像が、そして、中国共産党の将軍であり、重鎮の一人であった朱徳(ヂュー・ドゥー)(1886-1976)を追悼する貫天大仏像が置かれている。
1950年代後半に国防部長を務めた彭徳懐(ポン・デーファイ)(1898-1974)を含む中国の元帥及び軍人の写真が壁に飾られ、「毛主席仏陀寺」の建立に貢献した資金提供者を称える5つの記念碑が置かれている。
中国のその他の弾圧を受けた寺院や取り壊された寺院と比べ、「毛主席仏陀寺」はとても盛況であり、中国の伝統的な祝日には大勢の「信者」が叩頭を行い、線香を焚いている。
村民の1人は「毛沢東は明らかに人間であり、無神論者でした。文化大革命 時、毛沢東は「牛鬼蛇神」を一掃せよと人々に呼び掛けていました。現在、人々はその毛沢東を仏として崇めているのです。非常に奇妙なことです」と言った。
血塗られた歴史を残したものの、中国では今でも大勢の人々が毛沢東主席を神格化している。「毛沢東思想」は中国の憲法に記されており、現在の中国共産党政権は、宗教の根絶に関しても毛沢東主席の前例に従っている。2013年の毛沢東生誕120年を祝うスピーチで 習近平 主席は「指導者は過ちを犯すからといって、このような過ちにより後世に残したものを否定し、過去の成功を消し去り、以前の無政府主義運動の苦境に陥るべきではない」と述べていた。どうやら、現在、過去の指導者たちは神の代わりも務めているようだ。
李光による報告