著名な活動家、ルシャン・アッバス(Rushan Abbas)氏が、15か国33都市で新たな取り組みに着手する。ワシントンD.C.から3月14日に始まり、Bitter Winterも支援している。
マルコ・レスピンティ(Marco Respinti)
「二度と繰り返さない」。この言葉はヘブライ語の詩人、イツァーク・ラムダン(Yitzhak Lamdan)(1899~1954)の1926年の詩、『マサダ』の引用だが、1940年代に生き残ったユダヤ人がホロコーストについて言及する際に取り上げてから広く知られるようになった。以来、順当に波及していった結果、世界中の人々がホロコーストを巡る事柄を認識し、注目している。たとえば、忌まわしい強制収容所にいた者の大半がユダヤ人で、彼らは収容されただけでなく、劣った人間だという理由で奴隷扱いされたり、殺されたりした。しかし、強制収容所の「二度と繰り返さない」が一切実現していないという、おぞましく厳しい事実である。残念ながら、第二次世界大戦の終戦後、まさに消え去るべきだったその瞬間から存在し続けている。変化と言えば、多くが共産主義者によって管理されてきた点である。たとえば、共産主義者が精力的に支配を続ける中国にはおびただしい数の強制収容所があり、その多くでウイグル人が拘束されている。
ユダヤ人の苦難に気づいてもらうために創られた表現が、今日、ムスリムの人々に最も当てはまるという実態が、今の時代を物語っている。
「二度と繰り返さない」が今ほど人々の口にのぼるときはなかった。新疆ウイグル自治区 では少なくとも100万人の無実の ウイグル人 が、ナチスがユダヤ人を捕らえたときと同じ理由で不法に拘束されている。中国の共産主義者が、第三帝国の過ちから、1930年代と1940年代のアドルフ・ヒトラー(1889~1945)と彼の同志のように、その話題について大っぴらに話さないことは学んでいたとしても。中国共産党 の関係者がウイグル人を、漢族以外の少数民族に属している二流市民だと考えているのはほぼ間違いない。しかし、状況はそれよりも悪いのである。Bitter Winterが繰り返しているように、ウイグル人心理的な屈辱、暴力、文化的混乱にさらされているが、これらは、ウイグル人を「脱人間化」し、完全に服従させるため、中国共産党が一貫して推し進めていることなのだ。では、この動きと、ナチスがユダヤ人にした行為に何か違いはあるだろうか?つまるところ、ユダヤ人は、アイデンティティと文化、宗教が今も昔も不可分なのであり、ムスリムのウイグル人にもと同じことが言える。要するに、ナチスの精神は今も絶えておらず、共産主義の最後の堅牢な要塞に転生しているのだ(スターリンのソ連もま人を迫害していた)。
そして「二度と繰り返さない」は、「ワンボイス、ワンステップ」(One Voice, One Step : OVOS)が「強制収容所再び」のテーマで立ち上げた新しい重要な取り組みの力強く明確な指針である。OVOSは、2018年春にルシャン・アッバス氏が主導する「ウイグル人のためのキャンペーン」が始めた活動である。アッバス氏は先日、台湾の台北で開かれた「インド太平洋地域における信教の自由の確保に関する市民社会の対話」で講演をしたばかりだ。このイベントは、2018年に米国国務省がワシントンD.C.で組織し、82か国の代表が出席した「信教の自由についての閣僚会議」をふまえた動きである。
「強制収容所再び」は世界15か国33都市での開催が予定されている巡回写真展で、3月14日からワシントンD.C.のナショナルプレスクラブにて始まった。OVOSは、「収容所のおぞましい現実と、この人間性に対する罪がウイグル人に及ぼしてきた影響をありありと伝えています。今年のキャンペーンは世界中の一般の人々を対象に、収容所が原因となったウイグル人の犠牲と被害状況を示す意図があります」と説明した。
アッバス氏はBitter Winterの誠実な友である。迫害の被害者を代弁する私たちの仕事を常に認め、それを公に伝えてくれている。氏からは、今回の写真展においてBitter Winterが発表した写真をいくつか使いたいと依頼があった。光栄な共同事業であり、依頼された資料を提供できたことを喜んでいる。私たちは広報活動こそが(ほぼ)すべてであると確信している。誤解しないでほしい。私が言っているのは、不当かつ残忍に拘束されている新疆の人々のために、私たち、友人たち、同僚たち、そして仲間たちが提示できる広報活動である。新疆の人々の過酷な状況は国際的に注目されてしかるべきなのだ。