地方政府の民族及び宗教事務局の報告書には、宗教の信者への弾圧における成果が列挙され、新たな、今まで以上に厳しい取り締まりが明記されていた。
Bitter Winterは、双鴨山市の民族及び宗教事務局が作成した報告書を入手した。この報告書は、中国北東部、黒竜江 省 の双鴨山 市 で昨年行われた弾圧を詳しく説明するものであった。また、この報告書には、2019年に向けて、さらに厳しく宗教を管理することが提案されていた。
主なターゲット – 家庭教会および海外との関連性がある宗教施設
この文書によると、双鴨山市の135ヶ所の宗教活動施設のうち(125ヶ所はプロテスタント、2ヶ所はカトリック、8ヶ所は仏教)128ヶ所が昨年弾圧の被害に遭ったようだ。家庭教会 とチベット仏教、海外と関連性がある宗教活動が、弾圧の主なターゲットであった。
双鴨山市の民族及び宗教事務局は 公安局、国家安全局 及びその他の政府機関と協力し、韓国と関係がある福光教会、盤石教会および園林教会の3つの家庭教会を強制的に閉鎖した。
未成年の宗教活動への参加を防ぐため、同市にある海外との関連する宗教団体が主催していた日曜学校及びあらゆる類の集会、研修プログラム、サマーキャンプの調査が行われた。そして、教会の英語学習会に参加した生徒向けの「改心手段」が策定され、実施された。
政府公認の 三自教会 も普段以上に厳しい統制の対象となった。一部の三自教会の信者によると、新宗教事務条例 を掲示し、教会での国旗掲揚を要求しただけでなく、当局は書籍の検査を実施したようだ。その結果、全ての政府非公認の聖書、讃美歌集および録音は教会から押収された。
三自教会の牧師の一人はBitter Winterに対し、教会での国旗の掲揚を拒んだため、現地の民族及び宗教事務局から「東方紅」や「共産党がなければ、新しい中国はない」等の共産主義の歌を信者に歌わせるよう圧力をかけられたと話した。命令に従わない場合は教会を閉鎖すると脅した当局は、不定期に、不規則な間隔で検査を行い、信者が曲を熟知し、斉唱できるかどうかを調べていたという。その直後、民族及び宗教事務局は、政府が運営する神学校の学生を教会に送り込み、「権力を持つ者に従う方法」に関する説教を行わせたようだ。
広範囲に網を投げる: 詳しい情報を収集せよ
この報告書によると、2018年5月、双鴨山市において宗教に関する状況を調べる包括的な調査が行われたようだ。この調査では、宗教活動の形式とパターン、さらに内密に設立されたキリスト教の教会に参加する信者の人数の調査が重点的に行われた。また、宗教施設の近隣の住民、そして、村 の党委員会等の地域社会を訪問し、「外野の立場」から活動について学ぶ取り組みも調査に含まれていた。加えて、宗教施設のデータベースが作られ、常に情報を更新することが命じられていた。
カトリック地下教会 に関しては、当局は施設の責任者、活動の回数、信者の人数、礼拝所のある建物の所有権、そして、「海外の侵入」の有無に関し、徹底的な調査を求めていた。
同様のデータの収集は、チベット仏教を含む仏教の施設に対しても求められていた。屋外の仏像および現地の関係者に関する情報収集も要求された。
その上、当局はインターネット上の違法な宗教に関する情報の調査し、インターネット上のあらゆる宗教活動の監視も命じていた。
2019年 — 宗教弾圧を強化へ
この宗教業務報告書は、2019年の活動も規定している。市政府の職員には「宗教業務における新しい傾向と展開を特定」し、直ちに新たに見つかった「違法宗教施設」(主に家庭教会)を排除し、そして、屋外の宗教に関連する像の建立を阻止することが求められている。
この報告書は、礼拝施設の閉鎖後、集会の主な関係者を監視下に置き、そして、海外の宗教団体による侵入経路を全て遮断する計画を示している。
また、政府公認の教会および 中国天主教愛国会 等の「愛国的な宗教団体」を用いて、カトリック地下教会との通信経路を広げて宗教事務に関する指導力を拡大し、そして、「地下教会の指導と結束」の取り組みを強化するよう要求している。徐々に国の管理下に置くことが、目的である。
周華による報告