中国の共産党政権によると、弾圧を受けているイスラム教徒は弾圧を受けることに大きな幸せを感じているという。そして、本当の被害者は、人権保護を求めるメディアにより、嘘で固められた侮辱を受けている政府だとする。
マルコ・レスピンティ(Marco Respinti)
Bitter Winterは、新疆ウイグル自治区でウイグル族をはじめとするイスラム教徒に対して行われている、近年の大規模な弾圧を早い段階から糾弾してきたメディアの一つだ。この弾圧により、100万人以上の人々(そのうち半分は囚人)が悪夢としか言いようがない「教育による改心」のための強制収容所に拘束されてきた。そして、Bitter Winterに続き、北京当局の信じられない動きに接して、他のメディアも、Bitter Winter が以前報道したように状況を理解するに至った。つまり、中国当局は、強制労働所は既に閉鎖されたと長年にわたり報道してきたにもかかわらず、突然、強制労働所は、実は地獄のような「教育による改心」のための強制収容所に代わっただけだと認め、その後、すぐにこの収容所を認可する法律を遡及的に承認したのだ中国政府の不合理な行動を前にして、新疆の状況を理解し始めたのであった。この惨劇を把握した新聞社の一つがイギリスのガーディアン紙だ。同紙はウイグル族の問題を重要視しているようだ。一方、イタリアのコリエーレ・デレ・セラ紙もわずかなスペースではあるが、この問題を取り上げている。
しかし、現在、中国政府は、心理的・身体的な暴力を介してイスラム教徒に「棄教」を促すための「教育施設」に満足しているのは、イスラム教徒自身だとする考えをメディアに信じさせようとしている。新疆ウイグル自治区のショハラト・ザキル主席は、政府の報道機関である「新華社」との長いインタビューでこの考えを露骨に披露していた。中国政府は「棄教」を正当化するため、全てのウイグル族のイスラム教徒は過激化だと頑なに主張している。また、中国政府は「棄教」を「訓練」と表現することが多いため、囚人を「訓練を積んだ人々」と独善的に呼んでいる。そして、ザキル氏は治療を連想させる言葉を用いて「訓練を積んだ大勢の人々は、以前は過激派思想の影響を受けていたが、今は人生がこれほどまでに楽しいものになり得ることを学んだと言っている」と驚くべき発言をしていた。実際に収容所で起きている出来事を鑑みれば、笑えない冗談だと言わざるを得ない。本当の目的は、持続が難しくなりつつあるシステムを国際的な批判の目から守ることにある。世界を納得させるため、新疆ウイグル自治区のザキル主席は過去の行いを後悔しているという「訓練を受けた」匿名のウイグル族の話を打ち明けた。この匿名の人物は「私は国家の共通語を理解せず、法律も把握していませんでした。自分が過ちを犯したことさえ分かっていなかったのです。しかし、政府は私を見捨てませんでした。政府は積極的に私を助け、支援してくれました。無料で食べ物、寝る場所、教育を与えてくれたのです。現在、様々な面で私は大きく進歩しています。私はこの機会を活かし、国家と社会の役に立つ人間になります」と語ったという。20世紀で最も重苦しい全体主義が作り出した趣味の悪い風刺画を見ているような気分だ。不当な扱いを受けた囚人が、拷問者に感謝する絵が浮かんでくる。
中国共産党機関紙のグローバルタイムズ紙が10月16日に配信したザキル氏を支持する記事は、皮肉の塊だ。この記事は新疆ウイグル自治区のザキル主席の発言を擁護し、中国の新疆に対する政策を批判する圧倒的な西洋のメディアの報道に対する前向きな反応だと指摘している。また、北京の中央社会主義学院に属する宗教の専門家とされるシェン・グイピン氏は、西洋メディアの報道は根拠に乏しく、地域の政府に対して傲慢だと述べていた。つまり、人権を毎日のように激しく侵害する中国政府こそが被害者であり、我々メディアは罪を悔いるべきだということだ。